Kusatsu Information草津について
縁ある人物
縁ある人物

草津に歩みし百人

昭和以降・近代

52.近衛文麿:大戦前の争乱期、3度首相の座に着いた、名家出の政治家。

53.田中角栄:「日本列島改造論」を提唱。カリスマ的な支持を集めた、剛腕の首相。

54.佐藤栄作:沖縄返還を実現。日本でただ一人、ノーベル平和賞を受賞。

55.福田赳夫:上州が生んだ、初の総理大臣。「さあ働こう内閣」を合言葉に、諸案件を処理。

56.入沢達吉:ベルツを敬愛し、日本近代医学・草創期を支えた、内科学の権威。

57.石橋長英:ドイツ医学に傾倒。日独両国、医学界の発展に多くの功績を。

58.阿部真之助:人物、政治を題材に、論陣を張ったジャーナリスト。元NHK会長。

59.小林秀雄:「小説よりも魅力に富む」と言われた文芸批評を創始。

60.賀川豊彦:キリストの教えから、社会運動を指揮。自伝的小説に『死線を越えて』。

61.B.タウト:共和国時代のドイツが生んだ世界的建築家。日本建築を海外に紹介。

62.岸田国士:文芸座を旗揚げ。フランス現代劇を研究し、わが国に新劇の風を。

63.斎藤茂吉:万葉に学び、歌に生命を映す。大正・昭和期を代表する歌人。

茂吉は来草の折り、以前から続く腹痛を伴いながらも、温泉に浸かったり、散歩に興じたりしました。
西の河原、中ほどに建てられた碑には「いづこにも湯が噴きいでて流れゐる 谷間を行けば身はあたたかし」という歌が刻まれています。
歌集『白桃』に、滞在の時に詠んだ短歌を選録。「草津小吟」と題し、草津、そしてベルツへの思いを詠っています。

64.与謝野鉄幹:『明星』を主宰。浪漫主義的立場から、短歌の革新を目指す。

65.与謝野晶子:代表作は『みだれ髪』。女性という、美しい性を謳いあげた歌人。

晶子の歌集『山のしづく』には、鉄幹と訪れた時の草津の思い出の歌が数多く収録されています。
当時、晶子の短歌は夫・鉄幹を凌ぐほど秀逸と言われ、同歌集でも「靄白く立ちて硫黄の樋ならぶ廣場の前の山の湯の宿」など、草津の温泉情緒、自然の風景を美しい言葉で綴っています。

66.土屋文明:上州生まれの歌人。茂吉らと『アララギ』全盛期を築く。

67.吉野秀雄:人生を物語る作風が共感を呼んだ、高崎出身の歌人。

68.鹿児島寿蔵:人形の創作を、芸術の域までに高めた人間国宝。

69.村松梢風:克明な人物伝に定評あり。『残菊物語』は、広く知られた名作。

70.菊池 寛:芥川、直木両賞創設ほか、功績大の文壇の重鎮。代表作に『父帰る』。

71.石川達三:小説を通じて、諸問題を追求した、社会派の作家。

72.林芙美子:重圧を明るくはねかえした女流作家。代表作に『放浪記』『浮雲』。

73.井上 靖:『天平の甍』『敦煌』などの作品で、歴史小説に新境地。

74.深田久弥:風土色ゆたかな作風を確立。登山家としても著名。

75.高村光太郎:完成された作品とともに、妻・智恵子との愛で、人々の記憶に。

光太郎は、2度草津を訪れています。初めて来草した昭和2(1927)年には、この冊子の冒頭で紹介した詩「草津」を残し、白根神社拝殿近くの囲山公園には詩碑が建てられています。
2度目に、智恵子夫人を伴って訪れた昭和8(1933)年には、滞在の折り「草津の湯がよく、智恵子のからだにききそうです」という手紙を書いています。
また、名詩集『道程』には、草津を詠んだ詩も収録されています。

76.相馬御風:「都の西北」を拠点に、三木露風らと口語詩作を推進。

77.西条八十:詩人。フランス近代詩を広く紹介。作詞でも活躍。

78.吉田一穂:実験的詩作に情熱を傾けた、近代象徴派最高の詩人。

79.野口雨情:『十五夜お月さん』『シャボン玉』など時を越え、愛される唄を創作。

草津小学校の沿革誌に「昭和3年9月26日、野口雨情、中山晋平両文士、当町民謡研究トシテ来町ス」という記録があります。
雨情は、草津をテーマに「草津湯の香は ほんのりかをる/山や谷間の木の葉まで/昨夜夢見た 草津の夢を/草津湯の香の 湯の夢を/草津草津と草津の湯場を/夢に見てさえ なつかしい…」と詩をつけています。

80.種田山頭火:草庵を転住。奔放な人生を句作に託して、全国を行脚す。

81.前田普羅:山岳を好み、清冽な自然詠で知られる「虚子門の四天王」。

82.大野林火:叙情的な句風に人柄を感じさせた、昭和の俳人。

83.水原秋櫻子:『馬酔木』を主宰。俳句の神髄に迫った、近代句界の巨星。

84.竹久夢二:「夢二調」といわれた美人画と、感傷的詩文で、一世を風靡。

あたたかい人情にふれ、上州をこよなく愛した夢二。草津を訪れた際には、よく通ったカフェーがあり、彼が「夢」と書いた店の看板も最近まで掛けられていたとか。
草津には夢二ゆかりの品がありましたが、惜しいことに現在ではほとんど残されていません。また、町内のサロン「雲」では、草津の画家・千木良富士、山口力雄と三人展を開きました。

85.山下 清:「裸の大将」のモデルとしても名高い放浪画家。

山下清は、草津を訪れた第一印象を「草津にもろてん風呂がある」と端的に表現。西の河原などをさまよい、露天風呂に入浴、草軽電鉄駅で一泊しました。
その時の様子は代表作『放浪日記』に描かれています。また、貼絵・西の河原「ろてん風呂」では、草津で遭遇した人たちの群像を描いています。昭和33 (1958)年、取材のため再び来草した際には、天狗山でスキーに興じたりしました。

86.谷内六郎:懐かしさが胸を満たす画調。「週刊新潮」の表紙絵でお馴染み。

87.前田青邨:歴史画、肖像画に秀で、古美術の保存・復元にも尽力。

88.岡本太郎:戦後日本を代表する洋画家。大阪万博『太陽の塔』も制作。

岡本太郎は、昭和50(1975)年に来草。目的は温泉とスキー旅行だったようです。その時、たまたま町の関係者と親しくなり、草津の都市計画の依頼を受けました。
湯畑周囲の石柱を並べた「遊歩といこいの場」は、太郎の監修によるものです。

89.中山晋平:歌謡史を彩る名曲を、数多く作曲したヒットメーカー。

90.服部良一:流行歌から交響曲まで。幅広い音楽で人々を魅了した、名作曲家。

91.力道山:得意技は、必殺の空手チョップ。日本中を熱狂させた格闘家。

92.栃錦清隆:多彩な技を武器に、横綱に君臨。相撲史に残る「栃若時代」を築く。

93.M.ジャンドロン:仏ニース生まれのチェリスト。世界を周遊し、美しい演奏を披露。

94.木下恵介:『二十四の瞳』『喜びも悲しみも幾年月』ほか、感傷性ゆたかな秀作を世に。

95.今井 正:社会派の力作を数多く制作した映画監督。代表作に『青い山脈』。

96.田中絹代:あふれる美貌、演技力で観客を魅了。邦画史上、最高の女優の一人。

97.高峰三枝子:『湖畔の宿』の歌声とともに、昭和史を彩った映画女優。

98.上原 謙:『愛染かつら』に主演。女性を釘づけにした、元祖・二枚目俳優。

99.石原裕次郎:『太陽の季節』で鮮烈デビュー。日活映画・黄金時代の中心となり、長年、活躍。

石原裕次郎は、映画『赤い谷間の決斗』の撮影のため、来草。
監督は、『赤いハンカチ』などで裕次郎主演作をヒットさせた桝田利雄。
殺生河原などを舞台に撮影され、デビュー間もない渡哲也が裕次郎の胸を借り、見応えのあるアクションに仕上がりました。同年の年末、日活のお正月映画として公開されました。

100.渥美 清:映画『男はつらいよ』の「寅さん」役で